・本記事から得られるもの、理解できる事
〇「運動」の種類について理解できる

〇「運動」の頻度・強度について理解できる

〇「現代人に必要な運動」について理解できる

それでは、さっそく解説していきます!

こんにちは、Basisの新田です。

 今回の記事では改めて、私たちが提供している「運動」について書かせて頂こうと思います。今回も論文やデータを参考にしながら、現代人に必要な運動とは何なのかを皆様に少しでも分かりやすく伝わるように記事を書いていけたらと思います。
 ある会社がまとめた独自アンケート調査の結果によると、58%の人が普段から運動をしていると回答があり、主に取り組んでいる運動の第1位は「散歩・ウォーキング」、第2位は「自宅でのトレーニング」、第3位は「テニス・ゴルフなど球技」、そして運動している人達の約9割が健康維持のために運動を実施しているということが分かりました。
 また、運動の頻度は「週1日~3日」が40.5%、「毎日」が27.8%、「週4日以上」が21.8%、という結果となっていました。そして年代別に見ると、普段から運動している人が多いのは70代以上で74.1%、逆に最も低い値は30代の45.5%で差が25%以上あることが分かります。最後に運動の時間は「30分程度」が30.9%、「30分~1時間」が37.7%、「1時間以上」が31.3%という回答でここには大きな偏りはない結果です。
 ここまでのデータを見てみると、「別にそんな悪い結果じゃないよね?」と思う人が多いと思います。ですが、世界保健機関(World Health Organization :WHO)が発表したデータによると運動不足のために病気のリスクに直面している成人の数は、世界で18億人近く(世界中の成人のほぼ3分の1:31.3%)に上るというニュースが発表されました。
 WHOからのデータによると、成人の運動不足は2010年から2022年にかけて約5%ずつ増加傾向となっており、この傾向が続くと運動不足に該当する人の割合は2030年までに35%まで上昇すると予測されており、「2030年までに運動不足を減らす」という世界目標の達成からほど遠い状態となっているようです。
 またWHOからは成人が1週間あたり中程度の運動を150分(散歩、ラジオ体操、ウォーキングなど)、または高強度の運動を75分(ジョギング、サイクリング、登山など)行うことを推奨しており、運動不足は心臓発作や脳卒中などの心血管疾患、2型糖尿病、認知症、乳がんや大腸がんなど、がん発生のリスクを高めることが報告されています。
そして、運動不足は世界的にみると男性(29%)よりも女性(34%)に多く、国によってはこの差が20%以上もあると報告されています。さらに60歳以上になると他の年齢層よりも活動性が低くなり、高齢になるほど身体活動を促進することの重要性が強調されています。また今回の報告をされたWHO健康促進部長からは、「運動不足は世界の健康に対する静かな脅威であり、慢性疾患の負担に多く寄与している」という言葉が載せられていました。
ここまで2つのデータを乗せさせていただきましたが、おそらく皆さんの頭の中に大きな疑問が浮かんでいると思います。「2つのデータで差がありすぎる」「どっちを信用すれば良いの?」「結局、どんな運動が良いの?」という部分が気になって仕方がないと思いますので、このデータを私なりの解釈も含んでしまいますが、解説させて頂こうと思います。
まず私なりに大事な要素を2つに絞っていきます。①人によって「運動しています」の基準が違いすぎる②その基準の中でも「強度・頻度・種類」が大切な要素だと考えています。それではさっそく①について深掘りしていこうと思います。
みなさまに見て頂いた1つ目のデータでは運動の種類・頻度・時間の長さは聞かれていましたが、2つ目のデータと違い「運動の強度」が明記されていませんでした。そのため、運動の強度における考え方の違いが大きく出ているのではないかと思います。実際にこの記事を読んでいる皆さんにも考えて頂きたいのですが、「昨日、運動しましたか?」と聞かれたときにどのように答えるでしょうか。
例えば「昨日はちょっと散歩しましたよ」と答えた人がいるとします。この「ちょっと散歩しましたよ」という表現の中には「普段通りの速さで」、「普段より速く(速歩)」、「普段よりゆっくり」など最低でも3種類が存在すると思います。ですが、答える人の中ではすべて「昨日はちょっと散歩しましたよ」になってしまいます。
そのため、②「運動の強度」が大事な要素になってきます。特にWHOから推奨されている、中程度の運動とはウォーキングにおいて「普段より速く歩く(5~6km/h)」や階段昇降を行う強度となります。このように言われてみると、実際に「昨日はちょっと散歩しましたよ」というものが基準を満たしていない可能性が高くなりますよね。
ここまでの内容も盛りだくさんになってきたため、簡単に内容をまとめますと(1)思っているよりも運動の基準は厳しい(2)特に強度が足りない可能性が高いという2点が特に重要な要素だと思われます。
そして最後になりますが、私たちは「運動の種類」も重要な要素になると考えています。肩こりの記事でも解説していますが、デジタルデバイスの使用が増えた現代ではデスクワークが中心となり、同じ姿勢を取り続けていることが問題であることを取り上げました。また同じ姿勢を取り続けることで、身体中に存在する各センサーからの適切な「感覚の入力」が得られなくなることで、さらなる悪循環に陥ることも問題となります。
 これを改善するためにさまざまな運動を行うわけですが、ここで鍵になるのが「運動の種類」です。まず以下の図は神奈川県立大学センターの研究報告書から、運動の種類をまとめたものになります。

図1.姿勢の変化や安定性を伴う9つの動作
◯立つ・組む・乗る・逆立ち・渡る
◯起きる・ぶら下がる・回る・浮く

図2.重心の移動を伴う9つの動作
◯走る・歩く・登る・跳ねる・泳ぐ
◯飛ぶ・くぐる・滑る・這う

図3.人や物を操作する18の動作
◯持つ・支える・運ぶ・押す・当てる・掘る
◯渡す・投げる・倒す・引く
◯蹴る・押さえる・捕る・振る・漕ぐ
◯打つ・掴む・積む

ここで改めて、この記事を読んでいる皆さんに考えて頂きたいと思います。この中から昨日行った動作が何種類あるか思い浮かべてみてください。一例として、朝起きて・ごはんを食べて・会社まで歩いて・椅子に座って(引く)・書類を運んで(持つ、支える)・会議をして・お家に戻って・ごはんを食べて・シャワーを浴びて(掴む、振る)・寝るという1日があったとして、行った動作は上記の表を参考にすると7種類(座る、寝るが上記の表にはないため)になります。
 つまり上記のような生活モデルを継続すると、運動の種類が減少することによって刺激の偏りが生じてしまうと考えられます。身体への刺激(感覚)に関してはまたどこかで深掘りしようと思いますが簡単に記載すると、刺激に偏りが生じる=視覚・体性感覚・三半規管・耳石などからの刺激を受けて姿勢を調節する機能が私たちには存在しているのに、一部の機能しか使っていない状態になってしまうのです。そのような状態が続けば、身体には何かしらの不調が出てもおかしくないですよね。
 当施設ではピラティスを提供していますが、この運動の種類においてピラティスは高範囲で対応することができます。1つの運動を取ってみても、さまざまな機械(リフォーマー・チェア・タワーなど)を用いて行うことで違う刺激を与えることができるため、1粒で3度美味しい状態を作れることがボディワークの中でも、ピラティスが非常に優れている点であります。
いかがでしたでしょうか。今回もかなりのボリュームになってしまいましたが、ここまで読んで頂いた皆様が日常行っている「運動」を少しでも推奨される形に近づけるための参考になれば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。失礼いたします。

 Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田

参考引用文献
1)株式会社フジ医療より: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000065996.html
2)WHOより:Nearly 1.8 billion adults at risk of disease from not doing enough physical activity.: 2024 June 26.
3)神奈川県立体育センター研究報告書より引用:第36号:2008年