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・本記事から得られるもの、理解できる事
〇「筋収縮のメカニズム」がイメージできるようになる
〇「腰痛と栄養」がどのように関係するか、ある程度理解できる
〇「栄養」の重要性を理解できる
今回は腰痛と栄養ドリンクの関係性について、皆様に少しでも分かりやすく伝わるように記事を書いていけたらと思います。前置きになりますが、この記事を書くきっかけとして腰痛に効く栄養ドリンクが販売されているのを最近知り、「色々な商品があるんだなー」と感心した気持ちと、「こういう商品で症状が良くなるなら、お医者さんは必要なくなるなー」という2つの気持ちが湧いてきたので、私なりに今まで学んできた栄養学を基にして、腰痛の中でも慢性的な腰痛が筋肉の不調以外から生じる可能性を紐解きながら、解説していければと思った次第です。
では前置きが長くなってしまいましたが、さっそく次の項目から痛みと栄養(食生活)がどうして関係するのかを解説していきたいと思います。
<痛みと栄養(食生活)がどうして関係する?>
はじめに皆さんがイメージしやすいのは、筋肉の痛み=筋肉が伸び縮み出来ない(硬い)or伸びすぎている(過剰な可動性がある)と言うものが考えつくのではないかと思います。確かに痛みが生じる理由として、どちらも一般的で大きな要因として挙げられます。
ですが大前提として「筋肉が伸び縮みするメカニズムを説明できますか?」こう問われると、今回の記事を読んでいる人も少し自信がなくなるのではないかと思います。
そのような自信がなくなった方も、筋肉の収縮と伸張のメカニズムを知ると痛み⇔栄養(食生活)がどれだけ密接に関係しているのか理解でき、それについての説明も出来るようになっていると思います。そのためにはまず皆さんが漠然と持っている、「筋肉ってこんな物でしょう」と言うイメージを明確にする必要があります。
次の項目では、筋肉の収縮~伸張に関わる生理学的な部分を簡単にではありますが解説していこうと思います。
<筋肉の収縮⇔弛緩(伸張)メカニズム>
それではさっそく筋肉の収縮~伸張メカニズムを解説していきます。様々な反応が体内で起こって筋肉が収縮~伸張するわけですが、大前提として「脳or脊髄からの指令・反射により筋肉の収縮~伸張が生じる」というのを覚えておいて下さい。
これだけでは非常に淡白な説明で全く分からないと思いますので、1つ1つ深掘りしていきましょう。まず過程として①~⑦の反応が私たちの体内で順序良く生じていくことになります。①脳(中枢神経系)から筋線維への指令②活動電位の発生③活動電位の伝達④カルシウムイオン(Ca+)の放出⑤Ca+とトロポニンの結合⑥クロスブリッジの形成⑦筋収縮の発生という長い工程が起こっています。以下からはそれぞれの反応を説明していきます。
①これは大脳皮質を中心に興奮性の信号が運動神経に伝わりアセチルコリンという神経伝達物質が筋線維に放出されます。②こちらは先ほどの項目で生じたアセチルコリンが筋線維にある受容体に結合することで、筋細胞膜の通り道となるチャネル(門をイメージすると分かりやすいです)が開いて、ナトリウムイオン(Na+)が筋細胞膜を通過できるようになり、筋活動電位が発生します。
③そして筋活動電位が発生すると、筋フィラメントの集合体である筋原線維を包んでいる筋細胞膜と筋細胞膜の表面から内部に入り込むT管に沿って筋細胞内部まで活動電位が伝達していきます。④さらにT管に存在する受容体から筋細胞内にあるカルシウムイオンの貯蔵庫である筋小胞体にあるリアノジン受容体に情報が伝達され、筋小胞体から筋細胞内にCa+が放出されます。
⑤これによって筋形質内のCa+濃度が上昇することで細い筋フィラメントであるアクチンに結合しているトロポニンの一部にCa+が結合し、アクチン上にある太い筋フィラメントであるミオシンと結合する部位が露出されます。⑥この露出されたミオシン頭部にあるATP(アデノシン三リン酸)分解酵素がATPを分解する過程で、ミオシン頭部にエネルギーが供給されると、ミオシン頭部はアクチン上のミオシン結合部に付着してクロスブリッジ(架橋)を形成します。
⑦アクチンがミオシンに手繰り寄せられ、滑るようにミオシンの間に引き込まれ、細胞レベルで線維同士の距離が近づくことで筋の収縮が生じます。
図1.骨格筋構造の模式図
<栄養(エネルギー)ってなに?>
それでは筋収縮のメカニズムを理解したところで、次は栄養(エネルギー)について整理していきましょう。先ほどの項目で⑥のATPを分解する過程で「エネルギーの供給」という言葉があったと思います。このATPこそ私たちが呼吸(酸素)+食事で得た栄養素を細胞の活動によって、利用出来る形にしたエネルギーの正体なのです。
実は私たちの身体は、食事で得た栄養素をそのまま筋肉へ届けて利用できるわけではなく、栄養素を別の物質へ変換して体内で使っています。そうして変換したエネルギーがATPであり、このATPを分解しリン酸が1つ外れたADPになる際に、生じたエネルギーを用いて筋収縮が起きているのです。
ここまで補足してみると、筋収縮を引き起こすためには体内にエネルギーが存在している必要がある→食生活が乱れて栄養素の摂取が不規則になる→筋収縮を引き起こすエネルギーが不足する→筋の収縮が起こせず弛緩も適切に起こらない→・・・という負のサイクルが回るようになってしまいますよね。
そしてこの文面だけを見ると「たくさん食事を取れば良いって事だ」と短絡的に考えてしまいますが、当然そんなことはありません。ここで栄養素についても軽く触れておきましょう。皆さんも1度は聞いたことがあると思いますが、栄養素は3大栄養素と呼ばれる1.炭水化物(糖質)2.たんぱく質3.脂質があります。
今回の記事では割愛させて頂きますが、これにプラスして4.ビタミン5.ミネラルと言った、身体の調子を整える重要な栄養素があることも頭の片隅に入れておいて下さい。この記事では炭水化物について、解説を進めていきたいと思います。たんぱく質や脂質も重要な栄養素なのですが、これを説明していると本当に膨大な量の記事になってしまうため、また別の機会に紹介できればと思います。
それでは次が最後の項目となりますが、今回の記事でメインとなる腰痛と栄養ドリンクの関係を解説していきたいと思います。
<腰痛と栄養の関係>
それでは満を持して腰痛と栄養ドリンクの関係を見ていきましょう。まず私自身が現在も継続して学んでいる栄養学においては、病気⇔健康という区分けではなく矢印の間に「未病」と呼ばれる区分けがなされます。この未病というのは、病気の診断は下されないが、日常生活に支障をきたす不調を抱えた状態という考え方です。そして「未病」の根底にあるものとして、慢性炎症・低血糖・消化機能低下が存在します。
ここまで聞くと勘の良い皆さんであれば、私が説明したい事に気づいたかも知れません。栄養ドリンクの成分を思い起こしてみると、ほとんどの商品には「糖質」が含まれているのです。もちろん全ての商品とは限りませんし、糖質オフの商品もあるかと思いますが添加物として使用されている物が存在しているのは間違いありません。そして有効成分と呼ばれる物でパっと思いつくのは「タウリン」があるかと思います。
上記の有効成分は3大栄養素である、たんぱく質を分解していく過程の最後に辿り着くアミノ酸の1つです。そして3大栄養素以外のビタミンを誘導する成分や、ビタミンそのものも有効成分として含まれることが多いです。つまり、有効成分として取り扱われている物は普段の食事から摂取することが可能な成分と言えます。
以上の事をまとめると、腰痛が長期間続いている(=慢性腰痛)ケースの多くは「未病」である可能性が高く、栄養ドリンクを摂取することで糖質やその他の有効成分の作用によって、”一過性に”症状を緩解することは出来るかも知れません。しかし、それはあくまで一過性の物であり「根本的な解決」とは言えないと個人的には思います。
例えるなら風邪に対してお薬で症状を和らげているのに、シャツ1枚で生活しているようなチグハグな状態です。そう考えると「シャツ1枚だと良くないから厚着しよう」という根本的な部分を変える方が効果的に感じませんか。さらに一歩進めば「風邪を引かないように手洗い・うがいをしよう」など予防的な解決方法なんかも思い浮かぶのではないでしょうか。
それでは非常に長くなりましたが、以上で今回の記事における解説は終了となります。もしお時間がある方は次の項目にまとめとして、非常に個人的な考えにはなりますが今回の記事を通して皆様に伝えたい裏テーマも記載しておりますので、そちらも一読して頂ければ大変嬉しいです。
この記事が少しでも腰痛と栄養ドリンクの関係について理解する手助けになれば幸いです。ここまで読んで頂きありがとうございました。
<まとめ(裏テーマ)>
今回の記事は本当にとてつもない文章量になってしまい誠にすいません。ですが、ここまで読んで頂けている皆様には、この記事を通して伝えたい裏テーマである普段の食事から気を付ける事で「身体の根本から整えていく」という部分が強く伝わっているかと思います。
私自身も現場で指導する中で手技や運動で腰痛が軽快する方を多く見ていますが、なかなか手ごわい痛みを抱えている方もおられます。そのような方とお話してみると、今回の記事で取り上げたような食事の部分で乱れている方が多い印象です。もちろん、お店に来て頂けているのでその場は全力対応するのですが、食事・睡眠に関してはこちらからアドバイスは出来ますが、実行するかどうかが”本人次第”になってきます。
これは私自身の経験談ですが、高校生の頃は花粉症の症状が強く薬を飲まないと1日中、鼻水・目のかゆみなど、強い症状に悩まされていました。実際、当時は「花粉症って治る物じゃない」という言葉も耳にしていたので自分でも諦めていた部分がありました。ところが栄養学を学んでみると「症状を軽くできるかも?」と考え直し、騙されたと思って食事を大きく変えてみました。
そうすると年間を通して花粉症の薬が必要になることが、片手で収まる状態まで軽快しています。もちろん食事以外にも生活で変えた部分はありますが、食事による影響はとても大きい物だと実感しています。もちろん”私の場合は”という部分もあると思いますが、皆様も騙されたと思って食事を変化させ、効果を感じて頂けるきっかけになればと思います。
それでは本当の最後となりますが、まとめまで読んで頂いた皆様ありがとうございます。今後とも様々な内容で記事を書かせて頂き、少しでも皆様の健康な生活に繋がればと思っています。大変な文章量でしたが、ここまで読んで頂きありがとうございました。失礼いたします。
Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田
