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今回はピラティスエクササイズのラウンドバックについて、少しでも分かりやすく伝わるように記事を書いていけたらと思います。今回は私自身が現場でエクササイズを使用している中で感じていることを中心に、ラウンドバックの効果について解説していこうと思います。

 

<ラウンドバックとは>

 

 はじめにラウンドバックとは、図1のようにマシンを使いながら骨盤後傾~脊柱屈曲~肋骨内旋方向へ誘導し、脊柱起立筋群を初めとした後部連鎖筋の緊張を抑制することが出来るエクササイズになります。座った状態で行うため、立位で行う運動と比べると低負荷で実施することが出来るため非常に優秀なエクササイズの1つとなります。

 

図1.ラウンドバックエクササイズ

 

 お家で実施する場合には代用として、スパインストレッチというエクササイズがラウンドバックエクササイズと目的や対象とした筋肉が似ているのでオススメとなります。ラウンドバックとの違いは足で地面(マシン)をプッシュ出来ないため、下腿後面を収縮して安定させる+伸張ストレッチをかけることが出来ないという違いがあります。

 
 

図2.スパインストレッチエクササイズ

どちらのエクササイズも日頃からピラティスを実施している人からすると、良く見かけるエクササイズの1つかと思いますが、現代人に多いオープンシザースシンドロームと呼ばれる過緊張状態を改善するために有効な運動ですので、セルフストレッチとしてお気軽に実践してみてください。

 

<ラウンドバックエクササイズのメリット>

ラウンドバックエクササイズのメリットとして、上記でも書いたように肋骨内旋+脊柱屈曲動作を誘導し、腹筋群を収縮させることで骨盤後傾位を取り脊柱起立筋群を抑制することが出来ます。さらにハムストリングスへ伸張ストレッチをかけることで、現代人に多いオープンシザースシンドロームと呼ばれる過剰な緊張状態を改善することが出来ます。

このように過剰な緊張状態が続いてしまうと、食道と脊柱の間に存在する後縦郭と呼ばれる空間へ圧迫ストレスがかかってしまいます。この空間には大動脈や交感神経が走行しており、圧迫ストレスにより交感神経の働きが低下してしまいます。そして交感神経の働きが低下することで、さらに脊柱が伸展方向へ緊張しやすくなるという負のサイクルが生じてしまいます。

ラウンドバックエクササイズを実施することで、脊柱が屈曲方向へ誘導されることで後縦郭の空間を広げることができ、圧迫ストレスを軽減することで最終的に身体の緊張状態を抑制することに繋がります。今回も脊柱起立筋を中心に解説を進めていますが、この筋群は大事な抗重力筋群の1つですが、適切な抑制が出来ない状態では身体を様々な方向へ動かすことが出来ず、身体を動かすたびに余計な緊張を生んでしまい、更なる不調を引き起こす原因になります。今回のエクササイズを適切に行えるようになると、慢性的な不調を自分で改善する1つのきっかけになるのでは無いかと思います。

 

<ラウンドバックエクササイズの注意点>

 上記のように非常に有益なエクササイズであるラウンドバックですが、もちろんいくつかの注意点があります。ラウンドバックエクササイズを実施する際に注意しなければならない、代償動作としては①肩がすくんでしまう②動作時に脊柱の一部分だけが過剰に屈曲するといった物が代表的です。次の項目では、ラウンドバックが出来ない・代償動作が出てしまう人の対策を深掘りしていきたいと思います。

<なぜラウンドバックが出来ない?>

 ラウンドバックが出来ない方の主な要因としては、以下の物が挙げられます。理想的な動作が理解できていない、頭の位置が理解できていない、肩甲胸郭関節の不安定性・肩甲上腕関節の内旋など様々な要素が絡み合ってエクササイズが遂行できない状態になっています。それでは、要素を1つずつ深掘りしていきましょう。

 まず理想的な動作が理解できていないというのは言葉の通りになりますが、自分の身体を「こう動かすと、このぐらい背骨が動いている」という状態が分からないため、適切な脊柱の屈曲動作が出せず、自分の得意な部分だけ過剰に屈曲させることに繋がります。

次に頭の位置が理解できていないについては、日頃からパソコンを初めとしたデジタルデバイスを使ったデスクワークが多い方に当てはまります。例えば椅子に座ってパソコン作業をしていると代表的な姿勢である、前方に頭が突出したような姿勢(フォワードヘッドポジション)を取ることが多いです。その状態が長い期間続くと図3にあるような姿勢が自分の身体にとって、良い位置であると身体が認識しているためエクササイズ中も頭位が前方に偏移した姿勢で行ってしまいます。

図3.フォワードヘッドポジションのイメージ

 

最後に肩甲胸郭関節の不安定性・肩甲上腕関節の内旋については、脊柱の位置関係が変化することによって、肩甲骨の位置も影響を受けることで脊柱と肩甲骨の接地面が減少することで不安定性が生じます。肩甲上腕関節の内旋については、図3を見て頂けると分かりやすいのですが、猫背のような姿勢になると身体は勝手に肩関節が内側に入ってしまいます。それによって、本来肩関節が有している様々な方向へ動かすことが出来る機能も影響を受けてしまいます。

 

<まとめ>

 いかがでしたでしょうか。今回はラウンドバックエクササイズについて書かせて頂きました。このエクササイズは基本的なエクササイズの1つになりますが、実践してみると人それぞれのクセが出てくるため、どのような動きが得意なのか苦手なのかを素早く理解することが出来ます。実践したことがあるという人も、今回の記事を読んで改めてポイントを整理して理解出来たのではないかと思います。

現場で見ていると、見た目は出来ていても脊柱の一部分が過剰な屈曲を起こしてしまう人もいれば、一部分だけ伸展位になってしまう人もいます。そうなると適切な筋肉を抑制することが出来ないため、「実践してみたけど、逆に腰が疲れた・・・」「肩がしんどくなります・・・」という症状がでてしまうことがあります。今回、紹介させて頂いたエクササイズは基本的に低負荷で行うエクササイズであるため、力を抜いた状態で実践できるようになることを目標にしてみてください。

今回のエクササイズもそうですが、人それぞれエクササイズが実践出来ない理由が違います。そのため、その人それぞれに合わせて修正をかける必要が出てきます。もし自宅で何度か実践してみたけど、上手くエクササイズが出来ていないと悩んでいる方はお気軽にご来店して相談していただければと思います。

この記事が少しでもラウンドバックエクササイズについて理解する手助けになれば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田