「身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッション(手技×マシンピラティス)をご提供しています。

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇「前屈動作」について理解できる

 

 今回はピラティスで前屈が変化する理由について、解説を進めていきたいと思います。まず記事を読んでいる皆さんは、前屈動作についてどのようなイメージを持っているでしょうか。「手が地面に着けば柔らかいって事でしょ」という考えを持っている人が非常に多いのではないかと思います。

 確かに前屈動作を行って「床に手が届く」ということ自体は、一定の柔軟性が確保されているという見方が出来ます。個人的な意見を多分に含みますが、その結果だけで身体の柔軟性が十分であるとは言えないと私は考えています。先に結論を示しますが、①股関節の動きが変わる②脊柱全体の動きが変わる③下腿の柔軟性が変化するという3点がピラティスを実践した際に身体内で起こり、結果として「”適切に”手が床に届く」と言った結果が返ってくると考えています。

今回の記事では前屈動作を深掘りすることによって、前屈動作中の質が理解できるようになり、ピラティスを実践した際の前屈動作が変化する理由も併せて理解が深まるかと思います。それでは前置きも長くなりましたので、次の項目から前屈動作について解説を進めていきたいと思います。

 

<前屈動作について>

 それではさっそく本題の前屈動作について、いくつかの要素を絡めながら解説を進めていきたいと思います。まずは①股関節の動きについてですが、前屈動作時には股関節が屈曲(回転)することによって、動作が遂行されています。この股関節の屈曲動作が関節内で適切に起こらなければ、関節内で骨同士がぶつかり痛みを伴った動作となってしまいます。股関節というのは、大腿骨+骨盤で構成されており前方にある大腿四頭筋群をはじめ、後方の殿筋群(お尻の筋肉)によって支えられています。

図1.股関節の模式図

 

現場で対応している中で見られるのは、後方の殿筋群が硬くなり大腿骨頭が前方へ押し出されるストレスが常にかかることで股関節の運動を作れなくなってしまい、前屈動作が適切に遂行できなくなるというケースが多いです。

 次に②脊柱全体の動きについてですが、股関節はもう1つ骨盤も構成要素として関係していることは、先ほど紹介させて頂きました。骨盤の動きを担っているのは身体の後方(背中側)を走る脊柱起立筋群や骨盤~膝に走るハムストリングスが重要となります。脊柱起立筋群は過緊張を起こすと骨盤を前傾位で止めてしまい、ハムストリングスは収縮機能が低下すると、骨盤後傾方向へ運動を誘導することが出来ず前屈動作が遂行できなくなります。

 そして私たちの身体には、股関節の屈曲動作が起こると骨盤の後傾運動が追随するという”骨盤・大腿リズム”と呼ばれる働きが存在します。つまり股関節の運動が制限されると骨盤の運動も適切には生じないということです。さらに、骨盤の上に背骨が1つ1つ積み重なることで脊柱が構成されるため、股関節の動きが出ない→骨盤の動きが制限される→脊柱全体の動きが制限されるといった形で身体の柔軟性は失われることになります。

図2.下腿三頭筋のイメージ

 

 最後に③下腿の柔軟性についてですが、こちらに関係してくるのは図2の下腿三頭筋(腓腹筋+ヒラメ筋)です。この筋肉は先ほど出てきたハムストリングスと腓腹筋の一部が繋がっているため、ハムストリングスが緊張していると下腿も柔軟性が低下してしまいます。

さらに下腿の柔軟性は姿勢の影響を受けることが多いです。他の記事でも何度か紹介している内容になりますが、オープンシザースシンドロームと呼ばれるような反り腰+肋骨外旋位を取り続けていると、重心は常に前方へ偏移してしまいます。前方へ押し出された姿勢を止めるためには、下腿三頭筋を常に緊張させて動きを制動する必要があるため結果として下腿の伸張性低下に繋がります。

以上が前屈動作を適切に実施出来ない3要素になります。次の項目では、簡単になりますがピラティスを実施することで前屈が変化する理由を解説していきます。

 

<前屈動作がピラティスで変化する理由>

 それでは、前屈動作への理解が深まった所でピラティスを実施することで起きる前屈動作の変化についても解説していきましょう。ですがここまで記事を読んだ皆さんであれば、解決策が見えているのではないかと思います。

 端的に言えば”脊柱~股関節~下腿まで適切な関節運動を出せる環境を整えていきましょう”ということになります。文字で見ると非常に簡単だと感じますが、実際にそれが出来るようになるためには、様々な種類のエクササイズを低強度~高強度まで幅広く条件を変えながら繰り返していく必要があるため、その人それぞれですが改善まで長い期間がかかる場合もあります。エクササイズの1例ではありますが、以下のニーリングロールダウンはオススメです。これはチェアと言うマシンを用いて実践することが多いですが、図3にあるように膝を着いて脊柱を上から順に屈曲させていくことで、脊柱全体の可動性を広げることに繋がります。この際に注意点として、股関節を過剰に動かしてエクササイズを実施するケースが多く見られます。

図3.ニーリングロールダウン(チェア)

 実際に現場で多いのは、他の記事でも何度か出している例ですが”身体の緊張が抜けなくなっている”というケースが多いです。このようなケースでは、柔軟性を引き出すために上記のような低負荷の運動を実施しようとしているのに、身体を緊張させて中等度~高負荷の運動を実施しているような、身体の使い方を選択しているといったことが起こります。

 このような状態では脊柱全体を大きく動かそうとしても、股関節で代償してしまったり脊柱の一部分だけを過剰に動かしてしまったりすることも多いです。ピラティスを中心としたエクササイズを実施する中で、低負荷の運動を無理なく行えるかどうかは非常に重要となります。

そして低負荷の運動が適切に出来るようになれば、徐々に中等度~高強度の運動まで反応を確認しながら進めていくことになり、負荷量やエクササイズが変化していく中で徐々に自分自身で前屈動作が変化していることが感じられるようになってくるかと思います。もちろん人によってはそもそもの筋力が足りない事で、適切な運動が遂行出来ないケースもあるため、順番を変えて高負荷の運動から開始する場合もありますが、最終的には脊柱~下腿まで上手く使えていなかった部分の可動性が広がることで前屈動作が変化していきます。

 以上で前屈動作がピラティスを実践することで変化する理由についての解説を終了させて頂きます。それでは、以下にまとめとして今回の記事における振り返りも記載していますので、お時間のある方はそちらもご一読して頂ければ幸いです。今回も長い記事になりましたが、ここでいったん失礼いたします。

 

<まとめ> 

いかがでしたでしょうか。今回はピラティスで前屈が変化する理由について、書かせて頂きました。冒頭でも書かせて頂きましたが、結論として前屈動作は手が床に着くだけではなく、身体全体で動作が遂行出来ているのかを見る必要があるということでした。途中にも書いていますが、現場で多く出会うのは一部分が過剰に動き前屈動作を遂行するパターンが非常に多いです。

それを改善する方法として様々なピラティスエクササイズを行い、過剰に動く部分を抑制し低下している可動域(上手く使えていない部分)を引き出すことで、適切な前屈動作が可能になると考えています。今回の記事では省きましたが、目の使い方を変えることによる神経系の賦活によって動作が改善するケースも存在します。

つまり前屈動作1つ取っても出来ない理由は人それぞれの特性が出てきます。当施設ではピラティスはもちろんですが、様々な道具を取り揃えその人の身体に最も必要な刺激を与えることが出来る環境を作っています。今回の記事を読んで「前屈が硬くて・・・」といった悩みを抱えている方は是非、お気軽にご来店して頂ければと思います。

今回の記事も文章量が多くなってしまいましたが、ここまで読んで頂いた皆様には前屈動作を理解し動作を改善するエクササイズもぜひ実践してみて下さい。今回の内容が少しでも皆様の役に立てば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。失礼いたします。

 Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田