「身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッション(手技×マシンピラティス)をご提供しています。

 

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇「歩行」について理解できる

 

〇「姿勢」と「歩行」がどう関係するのか理解できる

 

それでは、さっそく解説していきます!

 

 今回は姿勢が改善することと歩き方の関係性について解説を進めていこうと思います。最初に結論から書かせて頂きますが、個人的な意見として姿勢が改善する→歩き方が変化するという結果は得られますが、逆の現象は起こらないと考えています。今回の記事では、姿勢が改善するとなぜ歩行が変化するのか、そしてなぜ逆の歩行を変えても姿勢が変化しないのかについて次の項目から解説していこうと思います。

 

<歩行とは>

 それでは初めに歩行について解説を進めていきたいと思います。1つの書籍によると、動物が位置を移すための運動を移動(locomotion)と呼び、二足動物の移動には歩行(walking)、走行(running)、跳躍(jumping)の3様式があると記載されています。そして移動、とくに歩行は最も高度に自動化(automatized)した運動である。それは細部にわたるまで決定した一定のパターンがつぎつぎに反復、連続したものによって構成されているとも記載されています。さらに移動は、全身の筋骨格系の共同した働きによって行われ、それには中枢神経系が協調的に作用している。それゆえ、末梢で起こっている現象を通して中枢における過程を知ることが可能になるとも書かれています。

ここまでの内容をかみ砕くと①歩行は無意識の運動である②中枢神経系も協調して働くという2点が非常に重要な項目になります。ここで、この記事を読んでいる皆さんに考えて頂きたいのですが、皆さんは「歩行(歩き方)」という物を誰かから教えて貰って出来るようになりましたか?

何が言いたいかというと、上記にもあるように歩行とは高度に自動化された運動であり、赤ちゃんから大人になるまで誰かから「こんな風に腕を振って」や「足は真っすぐ出して」などのように、手取り足取り教えて貰って出来るようになるものではないのです。もちろん大きなケガや脳出血などを経験した方は、リハビリの一環として歩き方を指導された経験があるかも知れませんが、基本的にはヒトが成長する過程で歩行について教えて貰う機会はほとんどないはずです。

察しの良い皆さんなら上記の解説から、歩き方を変化させて姿勢が改善すると言った現象が起こらない理由が見えてきているのではないでしょうか。端的に表現するなら歩き方を変える=振りつけが変わるということになります。振りつけが変わるだけでは、必要な身体の反応は引き出せませんし、さらに言えば”自動化された運動”を”意識下の運動”として練習しても、良い反応が出ない事は理解できるかと思います。

例えば、日常生活上で「良い姿勢で作業するぞ」と思っても、10分後には自分が普段から楽だと感じる姿勢になっていることと思います。これは歩行になっても大差はなく、意識的に「今日は腕を大きく振ってウォーキングしてみよう」と決意しても、家に帰る時には楽な歩き方を選択していると思います。このように歩き方だけを変えるということは、非常に効率の悪い運動を実践しているのではないかと個人的には考えています。

ここまでの内容で、歩き方を変えるよりも先にするべきことがあるということが理解できたのではないかと思います。続いては先ほどから解説している「歩行とは何なのか」という部分を深掘りしていきましょう。先ほどまでの解説で、歩行は周期性を持った運動であり下肢の運動を基準にして記述されることが多いです。私自身は歩行の際に上肢がどのような振る舞いをしているかも注意して観察していますが、本日の所は書籍を参考にして下肢を中心に解説を進めていきます。

歩行における一歩とは右踵が地面に着く→左踵が地面に着くまでとなりますが、歩行が周期性のある運動であるという点で見ると、右踵が地面に着く→もう1度、右踵が地面に接地するという重複歩(stride)が重要視されます。そしてこの一連の動作は歩行周期(walking cycle, gait cycle)と呼ばれます。

この歩行周期は立脚相(stance phase)と遊脚相(swing phase)の2つに分けられ、立脚相の前半は地面に接地する瞬間であり、身体のバランスを調整し立脚相後半で足趾が地面をけり出して推進力を十分に発揮できる態勢を作っていきます。次の遊脚相は足が地面から離れ、前に振り出されていく瞬間となります。以上の動作が日常生活を送る上で、私たちにとって欠かせない歩行という運動の概要になります。

豆知識ですが、”歩行”と”走行”の違いは立脚相と遊脚相が切り替わる瞬間に両足が接地している時間(double stance phase)が含まれているかどうかが大きな要素になります。自然な速さで歩行を行っていると、歩行周期中に10%ずつ計20%程度の両足が接地している時間があります。走行では両足が接地している時間が全くないということです。

ここまで相当長くなってしまいましたが、次の項目ではなぜ姿勢が改善すると歩き方に変化が起きるのかを解説していこうと思います。

<姿勢が改善すると歩き方が変わる理由>

 先ほどまでの項目で歩行について理解が深まったと思いますので、次に姿勢が改善すると歩き方が変化するのかを深掘りしていきます。姿勢を改善する方法も様々ありますが、その大部分は私が前回書かせて頂いた「ピラティスで姿勢が改善する理由3選」という記事がありますので、そちらも併せて読んで頂ければと思います。こちらの記事では簡単に要素を挙げていきたいと思います。

 ①体性感覚②前庭覚③視覚が姿勢を構成する上で非常に重要な3要素となります。ここからは人それぞれ、体性感覚の影響が強い人もいれば視覚の影響が強い人など個体差はありますが、3要素をバランス良く刺激していくことは必須だと考えています。今回は視覚と歩行を協調するような運動を1つの例として挙げていきます。

 まずは下記の図1にあるようなお手玉をしながら、歩行することが効果的です。もちろん最初から図1右側と同じように、何個ものお手玉を動かしながら歩くことは非常に難しいですし、安全に実施できないと思います。そのため、図の左側にあるような2個を交互に入れ替えながら歩いたり、1個を右手→右手or左手→左手で繰り返しながら歩いたりするだけでも非常に効果的な運動となります。

 理論的な所も少しだけ解説すると、この運動は視覚の中でも視野(特に周辺視)を鍛えられ、さらに歩きながら実施することで歩行という動作と協調するのに効果的なエクササイズとなります。今回、紹介した運動以外でも手と目を協調して使う(hand-eye coordination)を鍛えると歩行以外にも応用できるため、汎用性が高い理論の1つです。

図1.  お手玉のイメージ

 

図2.卓球でのリフティングのイメージ

もう1つエクササイズを紹介します。図2にあるような卓球ラケットでリフティングをしながら歩行を繰り返すのも効果的です。図1のバリエーションではありますが、物品を使用することで中枢神経に対する反応も変化するため、ラケット競技の経験が少ない方だったら、自分でも驚くほど上手く出来ないことが多いので1度試してみるのをオススメします。

 

上記までの内容を簡単にまとめると、運動の材料(fundamental)があるからこそ、運動戦略(functional)が変わるのです。今回の例で言うと、運動の材料=視覚機能が向上することで運動戦略=歩き方に繋がるという結果が返ってきます。ここまでが今回の記事を通して皆様に伝えたい内容になります。以下は簡単に今回の内容を振り返るまとめとなりますので、お時間がある方はそちらも一読して頂けると大変嬉しいです。非常に長くなりましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました。

 

 

 

<まとめ>

いかがでしたでしょうか。今回は姿勢改善と歩き方の関係性について解説させて頂きました。バックナンバーの「ピラティスで姿勢が改善する理由3選」という記事も読んで頂けると、今回の記事では省略している姿勢を改善するため他にどのような機能を向上する必要があるのか、そして機能が向上すると歩き方がどう変わるのかさらに理解が深まるのではないかと思います。そして記事の中でも解説させて頂きましたが、歩き方を変えるだけで姿勢が変化することは無いことも併せて深く理解できると思っています。

またまた大変長い記事になってしまいましたが、今回の記事が少しでも皆さんの「姿勢と歩き方は関係するのかな~?」という疑問を解消する手助けになれば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。失礼いたします。

Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田

参考引用文献

1)中村 隆一,齋藤 宏 他:基礎運動学 第6版補訂:医歯薬出版株式会社:379-383.: 2012.