「身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッション(手技×マシンピラティス)をご提供しています。

 

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇股関節の動きを改善する方法についてある程度理解できる

〇股関節の運動についてある程度理解できる

 

それでは、さっそく解説していきます!

 

 今回は股関節に効果的な運動を3つ紹介していきたいと思います。今回、紹介する運動は全て効果的な運動だと自信をもって解説もさせて頂きますが、注意点として現状で日常生活中も痛みが強い状態の方は、無理して実践しないようにしてください。

まず大前提として股関節とは何なのかを理解しておくと、今回取り上げている運動以外を何か別の情報源から得た際「この運動は股関節のどの筋肉へ刺激を入れているのかな?」など、その運動がどこを狙っているのが理解できますし「じゃあ、こんな風に動かしたらどうなるかな?」と言う、自分で運動をカスタムできるといったところまで、最終的には繋げられるようになります。

それでは本題に入る前に、簡単ではありますが股関節とはどのような構造なのかを次の項目から解説させて頂きたいと思います。股関節の構造について詳細は、過去の記事である”FAIについて”という物で詳しく解説させて頂いておりますので、併せてそちらの記事も読んで頂ければ理解が深まるかと思います。では前置きも長くなりましたので、さっそく解説を進めていきましょう。

 

<股関節の構造について>

 それでは初めに簡単ではありますが、股関節の構造について復習しておきましょう。まず図1の左図は立位(立っている状態)の股関節を表しています。こう見てみると、大腿骨頭は臼蓋に対して2/3ほど収納されていて安定性が高い関節であると言えますが、様々な動作・運動を行うにはこれでも不十分な場面が現れてしまいます。

そのため図2であるような、関節包靭帯が前方~後方まで全体を取り巻くように覆うことで、さらに安定性を高める構造となっています。このような構造が一部だけでも破綻すると、構造的な安定性は低下し変形性股関節症やFAIと呼ばれる病態に近づいてしまうのです。

図1.股関節の構造

図2.関節包靭帯

 

 

ここまでの内容は、股関節における静的な安定性(骨・靭帯や関節包が主要なもの)を担保する要素となります。人体の全ての関節に共通する部分として、静的安定性+動的安定性(主に筋肉だと思ってください)の2要素で関節は構成されているため、動的安定性に関与する筋肉についても理解を深める必要があります。

そのため、今回は後ほど紹介する運動に関係してくる、股関節の筋肉もいくつか抜粋して紹介させて頂こうと思います。まず代表的な筋肉である①大殿筋②中殿筋③腸腰筋の3つについて今回は深掘りしていこうと思います。初めに①大殿筋についてですが、これは皆さまも非常に理解しやすい筋肉の1つで、お尻の膨らみを触れたらその全てが大殿筋になります。

上記の大殿筋は非常に広い起始を持った筋肉であるため、このような事が起こります。大殿筋の起始は腸骨後面、仙骨背側~仙結節靭帯に付着し、停止は殿筋粗面と腸脛靭帯になります。支配神経は下殿神経であり機能としては、股関節伸展(足を後ろに持ち上げる動き)と外旋(外に足を向ける動き)が主な作用となります。

次に中殿筋ですが、起始は腸骨の前/後殿筋線の間から大転子に停止します。支配神経は上殿神経であり機能としては、股関節外転が主な作用となります。この中殿筋は大殿筋に覆われて層構造となっていることで、大殿筋の可動性が低下してしまうと中殿筋自体も可動性を大きく損なってしまうことがあります。

最後に腸腰筋ですが、この筋肉は大腰筋と腸骨筋の2つで構成されています。大腰筋の起始は腰椎1~4番に付着し、停止は小転子になります。支配神経は腰神経叢であり機能としては、股関節屈曲が主な作用となります。腸骨筋の起始は腸骨窩に付着し、停止は小転子になります。支配神経は腰神経叢と大腿神経であり機能としては、股関節屈曲が主な作用となります。

解剖学書には記載されていませんが、こちらの腸腰筋は股関節前方の動的安定性に関与すると考えられているため、股関節の中でもひときわ重要な筋肉の1つとなります。股関節の前方安定性が重要な理由は、後ほどエクササイズの項目でも深掘りしていきたいと思います。

以下の図3と図4で今まで紹介した筋肉の模式図がありますので、何度か繰り返し読み込んで頂いて、筋肉の走行(起始~停止)しているイメージをぜひ掴んで下さい。

図3.股関節後方筋群の模式図

図4.股関節前方筋群の模式図

 

復習と言いながらここまででも内容が非常に濃くなってきましたので、以上で股関節の構造について復習を終了させて頂き、ここまでの情報を基にして次の項目から本題である股関節に効果的な運動を3つ覚えて頂き、ぜひご自宅でも実践して頂ければと思います。

<股関節エクササイズ3選>

 それでは本題である、股関節に効くピラティスエクササイズを3つ紹介させて頂きどのような効果が期待できるのかについても併せて解説をさせて頂こうと思います。冒頭の繰り返しになりますが、くれぐれも現在すでに股関節の痛みが強い方などは無理して運動を実践しないように注意してください。今回、紹介させて頂くエクササイズは①ヒップリフト②レッグサークル③サイドキック&アップダウンの3つになります。

それでは初めにヒップリフトというエクササイズをご紹介していきます。この運動で特に狙っている部分は、大殿筋と腸腰筋になります。まず大殿筋についてですが、この筋肉の収縮機能を改善することで、特に歩行において必要な股関節伸展機能を向上することに繋がります。これは非常に理解しやすいポイントですね。

もう1つ大事な変化を狙っているのは腸腰筋です。先ほどの大殿筋と比べると、どのような変化が出るのかイメージがしにくいと思いますので、1つ1つ深掘りしていきましょう。まず私自身が現場で対応している中で、股関節に痛みや違和感がある人に共通する項目として、”殿筋群の硬さ”を感じることが多いです。なぜそのような事が起こるかと言うと、殿筋群の硬さが生じることで、股関節は徐々に後方への可動性が低下してしまいます。

これによって股関節全体が前方へ押し出されてしまい、前方の安定性を担っている腸腰筋に過剰なストレスがかかり続けることになります。そうすると、前方の組織は常に引き伸ばされながら使い続ける(山道や階段を降りる時の太もも前側が頑張る感覚です)という、筋の収縮として最も負荷が高い状態となってしまいます。

 このような状態を改善するには、対象とする腸腰筋自体を収縮させるor反対の作用を持つ筋肉を使って腸腰筋をリラックスさせるという方法があります。ヒップリフトでは大殿筋を主に収縮させるため、腸腰筋の持つ股関節屈曲作用と反対の伸展作用を賦活することが出来ます。

そうすることで、腸腰筋の緊張を低下させ前方のストレスを軽減することが狙えます。さらに歩行と繋げて考えると、股関節は屈曲動作と伸展動作を繰り返しながら前方へ進んでいくため、ヒップリフトのような股関節中間位(屈曲と伸展の中間地点)を取れるようになると、歩行時に必要な軽度伸展位を獲得する前段階のエクササイズとしても非常に優秀であると言えますね。

 

図5.ヒップリフト

 

次はレッグサークルというエクササイズをご紹介していきます。こちらのエクササイズで狙っているのは、腹筋群と腸腰筋が主な対象となります。この運動では股関節を屈曲位にして小さな円~大きな円まで動かしていくため、腹筋群で身体を安定させた状態で股関節を動かすことが出来るかどうかが重要なポイントです。良くあるエラーとして、股関節を中心に動かそうとしても、骨盤や上半身がグラグラと揺れてしまうことが見られます。

そうなると股関節が安定して動いているわけではなく、逆に痛みを引き起こしてしまうこともあるため、注意が必要です。このエクササイズは見た目より難しい運動となるため、ぜひご自宅で1度実践して体感してみることをオススメします。さらに、このエクササイズを通してもう1つ刺激したい部分としては、股関節包に存在する”固有感覚受容器”になります。

股関節はレッグサークルのような分回し運動によって”股関節がどのように動いているのか”という情報を脳へ大量に送ることが出来ます。つまり股関節は大きく動かせば動かすほど身体の理解が深まりやすいということです。ただ先ほども述べたように大きく動かそうとして、その他の部位が頑張りすぎてしまえば効果は半減してしまうため、少しずつ徐々に大きく動かせるようになることを目標にしてチャレンジしてみて下さい。

図6.レッグサークル

 

最後はサイドキック&アップダウンをご紹介していきます。こちらのエクササイズで主に狙っているのは、中殿筋になります。図7の形もバリエーションの1つなので、これ以外にもさまざまな姿勢でエクササイズを実践するのをオススメしますが、どの姿勢でも共通して意識するポイントがあるとすれば、足をなるべく遠くに伸ばした状態で前後~上下方向へ幅広く動かすことが重要です。

 ここまで紹介したエクササイズと大きく違うのは横向きで行う物になるため、実践する人のクセが非常に出やすい運動となります。例えば良く見られるエラーとして横向きになった段階で、腰が反りすぎている事が見られます。これは腹筋群の安定性が低下していることで生じやすくこの状態でエクササイズを実践すると、腰の痛みに繋がってしまうことがあります。

そのため、このエクササイズを実践する前にはまず腹筋群を賦活するような運動を実践していくことが現場では多いです。参考までに過去記事である「ピラティスにおけるエレファントとは」や「ピラティスにおけるテーブルトップポジションとは」の内容が腹筋群を賦活するエクササイズとなりますので、ぜひご一読して頂くとサイドキック&アップダウンを上手に行うための準備として最適なのではないかと思います。

サイドキック&アップダウンを効果的に実践することが出来ると、片足立ちや歩行時の安定感が抜群に変化するため、痛みに注意しながらご自宅で1度試してみると良いかと思います。

図7.サイドキック&アップダウン

<まとめ>

 以上で股関節に効くピラティスエクササイズ3選の解説を終了したいと思います。紹介させて頂いた運動はどれも非常に優秀なエクササイズであることが、何となくでも理解出来たのではないかと思います。見た目以上に難易度が高いエクササイズもご紹介させて頂きましたが、ぜひご自宅でも1度実践してみて効果の程を実感して頂ければ幸いです。

もちろん今回紹介させて頂いた運動以外にも股関節に効果的な運動はありますが、難易度も含めるとまずは、上記3つの中から開始してさらに難しいエクササイズへ挑戦していくのも良いのではないかと考えています。構造から運動まで内容も膨大になってしまいましたが、何度も繰り返し読みながら、今回の記事が股関節への理解を深めて頂く1つの手助けになれば幸いです。最後まで読んで頂きありがとうございました。失礼いたします。

 

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