「身体を整えて」から「動く」ことで「コンディショング、ライブパフォーマンス」を高め、快適な毎日を過ごせるように、セッション(手技×マシンピラティス)をご提供しています。

・本記事から得られるもの、理解できる事

〇「ピラティス」について理解が深まる

〇「運動学習」について理解できる

それでは、さっそく解説していきます!

 

 今回は「マシンピラティスとマットピラティスの違いについて」という記事の第2章として、運動学習を中心に改めて深掘りしていこうと思います。今回の記事は前提として、関連記事を読んだ後を想定して書き進めていますので、まだ関連記事に目を通していない方は一度対象の記事を読んだ上で、もう一度この記事に戻ってきて頂ければ幸いです。

今回の内容もかなり個人的な見解を含んでしまうので、1つの参考程度に読んで頂ければと思いますが、結論としてマット/マシン両方のピラティスを用いることが運動学習を効率的に進め、身体の悩みを解決する大きな一歩になると考えています。それでは次の項目から、運動学習について解説していきたいと思います。

 

<運動学習とは>

 まず初めに運動学習とは、比較的永続的な変化を導く練習や経験に関連した一連の過程を指します。これだけでは理解しにくいと思いますので、いくつかの要素にわけていきましょう。運動学習に関係するキーワードとして”保持”と”転移”の2つが重要となります。

 それでは1つ目の保持についてですが、練習が終わって一定の時間が経過した後でも習得した運動能力がどれだけ維持されているかを指します。これについてイメージしやすいのは、野球のバッティング練習が理解しやすいかと思います。バッティングも最初は1/10球しか当たらないのに、練習を続けていくことで成功率は10/10球に近づいていきますよね。

 そして成功率を上げていく過程として、毎日バッティング練習を継続することが1つの理想となりますが、悪天候や体調不良などによって練習が出来ない事もあるかと思います。保持のイメージとして、5/10球まで成功率が上がった人が練習を数日休んだとしても、一気に1/10球へ成功率が戻らず、3/10球や5/10球と出来れば運動学習の効果が保持されていると言えます。

 2つ目の転移についてですが、これは過去に学び身に着けた運動技術や動作などが、新たに学ぶ他の動作に影響を及ぼすことを指します。これに関してイメージしやすいのは、卓球とテニスが理解しやすいのではないかと思います。上記2つは英語もtable tennis/tennisと似ていますし、ラケットを使う競技という点も共通しています。簡単に理解するのであれば、卓球を経験している方は共通点が多いテニスにおいて、その経験が有利に働くということです。

 ですが転移には、正の転移と負の転移という2種類が存在します。先ほどの例では卓球を経験している方はテニスにおいて、その運動経験がプラスに働くつまり正の転移が起こるパターンで説明させて頂きましたが、実際には卓球をしていた経験が邪魔をして、テニスに最適なスイングの学習を進める際に邪魔をしてしまうことがあります。このような状況を負の転移と呼びます。

 ここまでをまとめると、運動学習と言うのは成功率が低かった動作に関してエクササイズを通して成功率が上昇し、そのエクササイズが他の動作へプラスに働くことが最高の成果であるということが理解できたかと思います。以上を理解した上で、次の項目からピラティスにおける運動学習の重要性を解説していこうと思います。

 

<ピラティスにおける運動学習の重要性について>

 それでは本日、最後の項目になりますがピラティスにおける運動学習の重要性について解説を進めていこうと思います。ここからは関連記事の内容がどうしても必要になるため、ポイントを復習できる程度に内容を絞って記載させて頂きますが是非、1度関連記事を読んでから先の解説を読み進めて頂くことをオススメします。

 関連記事で説明していた重要ポイントとして、”マットピラティスがスタートに適している”、”マシンピラティスとマットピラティスはどちらも重要である”、”身体図式を改善する”の3つが挙げられます。今回は先ほどまで説明していた、運動学習の観点がどのように上記3点と絡んで来るのかを解説していきたいと思います。

 それでは最初に”マットピラティスがスタートに適している”と”マシンピラティスとマットピラティスの両方が重要である”という2点を絡めて解説を進めていきましょう。上記2つの事柄に運動学習の観点が絡むと、不思議な現象が起こります。1つの例ですが、マットピラティスのみを何年間も続けているAさんがいたとします。

当然Aさんはマットピラティスを何度も経験しているため、マットでのエクササイズは非常にキレイかつ上手に実行できると考えられます。ではAさんにリフォーマーを使ってマットピラティスでも代表的なエクササイズの1つであるロールアップ&ダウン(図1)をやって貰ったとしましょう。この時にAさんはマットピラティスと同じぐらい上手にエクササイズを遂行できるでしょうか。先ほどまでの解説を読み進めた皆さんは、「上手に出来るんじゃないの?」と考えたはずです。

図1.ロールアップ&ダウン~マット/マシンver

ですが実際には、おそらく何かしらの代償動作が出てしまう可能性が高いと私自身は考えています。もちろん本当に初めてピラティスエクササイズを実践する方よりも、上手に出来るとは思いますが、マットピラティスと同じレベルでリフォーマーを使ったエクササイズが出来るとは考えにくいです。

これはマット→マシンへ環境が変化したことで、同じエクササイズでも与える刺激(負荷)が大きく変わり、エクササイズにおける類似性が乏しいと身体が認識したことで起こる現象です。このような現象は「繰り返しなき、繰り返し」と呼ばれます。これを見ると「じゃあピラティスをしたって意味がないじゃないか」と考える方がいるかも知れませんが、是非この現象をプラスに捉えてください。

なぜならピラティスにおいて「繰り返しなき、繰り返し」があるということは、同じエクササイズでもマシンを使って環境を変えるだけで、全く違う刺激を身体に与えることが可能となり、運動学習効果の高いエクササイズを”何度でも”経験することが出来るということになります。

ピラティスで使用されることが多いマシンとして、関連記事ではリフォーマーを紹介していますが、それ以外にもピラティスで用いられるマシンとしてチェアー・タワー・ラダーバレル・キャデラック・コアアラインなどなど種類が豊富にあります。つまりたった1つのエクササイズで7種類のエクササイズを行った経験が得られるということです。こう聞くと、先ほどまで残念だと思っていた部分が、逆にお得だと思えてきませんか。

 最後に”身体図式を改善する”という部分に関して、運動学習の観点から解説をさせて頂こうと思います。関連記事の中でも簡単にしか説明していませんでしたが、運動学習の観点を絡めるとピラティスの有用性について更に理解が深まると思います。まず身体図式の改善には、体性感覚を初めとした固有受容感覚を刺激することが重要であることは関連記事で書いています。

 そこに先ほどまで解説していた運動学習の利点である、1つのエクササイズで7種類の経験が得られることを追加して考えてみましょう。まず代表的な体性感覚(筋肉の収縮~伸張によって生じる感覚です)のみに絞って考えても、1つのエクササイズで7種類の刺激が得られることは非常に効果的なことが理解できると思います。さらには実践するエクササイズの数を2つ3つと増やすことによって得られる刺激の種類は倍数で増えていきますし、マシンそれぞれがバネなどの補助具で負荷量を調節できることを考えると、刺激の数と量を理論上は無限に増やすことが可能となります。

 いかがでしょうか。ここまでの解説を見てみると、ピラティスエクササイズにおいて運動学習の観点を無視することは出来ませんし、運動学習の要素を考慮しないことがどれ程もったいないことなのかも、併せて理解できたのでは無いかと思います。今回の記事では運動学習の要素を重点的に解説していきましたが、そこから更に”日常生活への繋がり”という点が重要となるのですが、こちらについては第3章という形で別の記事に解説させて頂こうと思いますので気長にお待ち頂ければ幸いです。

 

<まとめ>

 いかがでしたでしょうか、今回の記事も非常に長くなってきましたので以上でマシンピラティスとマットピラティスの違いについて~運動学習を中心に~の解説を終了とさせて頂きます。ここまで読んで頂いた皆様であれば、ピラティスがどれほど運動学習効果の高い運動療法の1つであるかが理解できたのではないかと思います。

今回の記事を読んで「もう1回ピラティスをやってみようかな」と思えた方は是非お気軽に当施設へお越し頂き、その運動学習の効果について少しでも実感して頂ければと思います。

改めまして今回も非常に長編の記事となってしまいましたが、この記事が少しでも皆様のマシン/マットピラティスが持つ効果を理解することに繋がり、ピラティスを続けるきっかけになればと思っています。最後まで読んで頂きありがとうございました。それでは失礼いたします。

 

 Basis~からだのメンテナンススタジオ~ 新田